五感のひとつ「触感」。「触」れることを「楽しむ」の世界へ、ご案内です。
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『触楽入門』
著:テクタイル(仲谷正史・筧康明・三原聡一郎・南澤孝太)
1-1
もしも触感がなくなって
しまったらどうなるか、
想像してみよう
五感の中で、なにか一つ、
感覚を失わなければならないとしたら
あなたはなにを選ぶでしょうか。
荒唐無稽な質問のように感じるかもしれませんが、
少しだけ想像してみてください。
現代のエンターテインメントは、視覚や聴覚(加えて味覚)が
中心となっています。
おそらく触覚か嗅覚か、どちらかを選んだ人が
多いのではないでしょうか。
触感がない状態とはどのようなものか、
少しだけイメージしてみましょう。
眼を閉じたり、耳を塞いだりできるものと違い、
触覚は一時的に閉じることができない感覚ですから、
なかなか想像がつきません。
しかし、触覚を失うということは、
自己の存在根拠を揺るがしかねない
深刻な事態がもたらされるのです。